シリコンバレーの普通の仕事

シリコンバレーと言うとなにか華やか、スマート、イノベーション、アイデア、もっと端的に言うと賢い連中ばかり。。。と勝手に想像してませんか? ”シリコンバレーで働いた経験がある”と言うだけで何かその人物がすごく優秀なような錯覚を与えるようなBLOGや本のカバーをちょくちょく見かけますが、そんないわゆるスーパーエンジニアは数えるくらいしか実際にはいないですよ。大半は? 普通のエンジニアで普通の仕事をしています。大きな会社だったら50人に一人くらいじゃないですかね。すごいエンジニアは。

ただスタートアップ企業はこんなすごいエンジニアが集まっていることがあります。優秀なエンジニアの密度が濃厚なのはスタートアップの方が多いでしょうね。私の経験からもそれは確か。ただし、そうでないスタートアップもあります、というかどうでもよいスタートアップの方が圧倒的に多いですよ。すごい会社を見つけるには人脈が必要です。スタートアップのほとんどは失敗するのですよ。

求人の例を挙げます。これを見て何かすごいことしていると思います?設計にはエンジニアが必要なのです。どんな小さなことも自動的にかってにAIが作り出すことはありません。今のAIでは不可能だそうです。AIにそんな意志も義務感もないからです。というわけで普通のエンジニアを大量に欲している。。。インドなどにアウトソーシングもしますが全部アウトソーシングするような会社はいずれ滅びます。そんなことはわかっているので雇うのにもっとコストがかかるのですがエンジニアを雇っています。この求人をみて組み込みソフトの経験が5年もあれば、自分にもできるなと思ったら、正にその通りなのです。 会社はスターのようなものすごくきれるエンジニアだけを雇うということはないです。それでも面接が大変なのはにんきある会社には申し込み数が多くえり好みできるからなだけです。

でもそんな人気ある会社に入ったからと言ってものすごくできるという証明にはまったくなりません。大学入試、受かったからと言ってそれでその学生が将来成功するか、本当に賢いかなんで全然わからないのと同じです。

だた受かった学生、エンジニアにとっては少し自信がつく 程度と思っておくとよいと思います。Googleで働いたエンジニアでもAppleの面、落ちますからね。逆ももちろん。これは東大受かったけど早稲田落ちたというのがあるのと全く同じです。

シリコンバレーの求人情報を読み取る

さて、やってみたい仕事、会社の求人を発見した、しかも求められる”理想”のエンジニア(Qualification、Desired)の項目を見ると、2,3は少なくとも自分は当てはまるのを確認した、とします。

Qualificationですが、市民権を要するといった法律事項はどうにもならないですが、その他の項目は沢山書いてありますがすべて当てはまるような候補者はまれです。どれがMUSTでどれがDESIREDでどれがNICE-TO-HAVEなのか自分なりに検討する必要があります。

MUSTはそれが無いとまず面接には至らない事項です。市民権は置いておくとしてもある種のことについて経験、知識が豊富であることを大前提にした求人もあります。

例を見てみましょう。 ランダムに見つけた実際のJOBポジションです。 Minimum Qualificationsを見ます。

ー最初の項目は学位を持っていること、コンピュータサイエンスなどが関連する分野と言ってますね。高い学位であればあるほど良いですがこの例ではBSでも良いと言ってます。こんな場合高い学位ほどチャンスが広がるのが常です。日本では電子、電気工学でコンピュータサイエンスを履修することがあります。そんな場合BSEE(MSEE)をBSCSとかMSCSと書き換えても別に問題はありません。履歴書に卒業証明を添付しないから。卒業証明を求められるのは面接に合格後。CSかEEかはもうその段階では関係ありません。

ー第2項目から4項目はようやくすると”経験者”を探しているということ。2項目と4項目にAnalysisという言葉が出てきますが会社で品質管理をやったとか、考えれば何か相当することをやってきたという人は結構多いと思います。この項目をみて、”だめだ、自分には経験ない”とすぐ判断するか、じっくり考えるか。重要なのは”したいか”と”できると思うか”です。”したい、そしてできると思う”のであれば自分の経験を思い出してみると案外履歴書に書けることが見つかります。

ー第5項目はかじった程度でいいのかどうかをJob Descriptionと照らしてみてみるとよい。ざっと見たところ、どうもかじった程度でよさそう。SQL全然経験なくても”今からでもちょっと勉強する”だけで足りるかなと思ったら履歴書に書けば良いんです。

ー最後の項目はあまり意味をなさない。

とみると、学位があってちょっとPYTHONなどを知っている経験者だということになりますね。

シリコンバレーで働くと決めたら。学生

USAの大学を卒業?  このBLOGから出ていただいて結構です。なぜか?あなたはUSAでの就職についてはもう詳しいはず。このBLOGは役立つとは思えません。

さて、日本の大学に在籍している。卒業後はシリコンバレーに行きたい。。。

まず誰もが考えるのは外資系企業の日本法人に入ってそのうえでアメリカに行けたら良いかな? ですね。 私は35年前に外資に入り30年前にUSAにやってきたのでそのパターンですね。

ただこれは誰もがチャンスあるわけじゃないし移籍というのはハードルも高い。1,2年USAにやってくる(出向など)、その間に移籍するように自らを持っていくということですが移籍は確率はそんなに高くない。

では最初からUSAで就職。その第一歩は履歴書と先のブログで書きました。学生、真っ白だ。。。まずは人とつながると良いと思います。真っ白な履歴書では書類選考は困難。しかも日本の大学。卒業生も少ない、学校を知られていない(Tokyo Uとか知られているとは言えIITの方がずっと卒業生のコネクションは大きい)、企業と強いコネクションのある教授の元にいたわけでもない(日本の教授の知名度は全体的に低いです、あまり宣伝されませんからね)。

となると自分からコネクションを作っていくのです。私とつながりたい?WELCOMEですよ。

つながれる機会はそれでも沢山あります。例えば

ーConference, Workshop等に参加する。自費ででも。お金がない?携帯電話の通信費に毎月いくら使っています? とてももったいない出費です。ConferenceやWorkshopを勉強するために行くと思っておられるかもしれないですがそれは2番目の理由。一番の理由はコネクションを作るためです。 英語が問題? ありえません。少なくとも大学生でしょう?片言でも話せるはずです。英語を気にするのはこの際一切やめましょう。

ーTrade Showに行って探す。CESって聞いたことがありますか?華やかなブースが目立ちますが、実は技術、テクノロジーを展示しているブースも沢山あります。こういった会社はR&D部門の人が来ていることが多いです。そこで知り合い、質問をして名刺をもらって後日EMAILをする。EMAILだけじゃなく仮に自分が論文などをだしていたらコピーを上げる、などできることは沢山あります。 Trade showは日本でも開催され通常Freeですよ。

ー会社が主催するWorkshopなどに参加する。お金を払うこともあるしただのこともあります。 例えばARM(今はSofrBankの一部)は毎年ARM Techonというイベントをしています。エンジニアたマーケティングの人が沢山きています。チャンスです。ターゲットとしている会社のPrivate Eventは一番のチャンスです。

などいくらでも探せはあります。 まず、コネクションを作ることです。その中で数人”懇意”になる。

学生と言えども履歴書は作りましょう。発表した論文、オープンソースプロジェクトに参加している、特許を持っているなど、書けますね。 

まずその手始めに私とつながってみますか?

シリコンバレーで働くと決めたら

まずやってほしいと私が思うことは 履歴書を書くことです。

フォーム(形式)は全く自由ですがWEBサイトを見ると沢山テンプレートを見つけることができます。自分の書きやすいフォームを見つけて書けばいいと思います。

ここでは実務経験5~10年程度のいわゆる”経験者”でシニアエンジニア(以上)を対象にしています。学生や経験1,2年のケースは次のエントリーで私なりの意見を書いてみます。経験10年以上?このBLOGの対象外です。

履歴書書いてますか?もし書いてこなかったとしたら今後は誕生日毎に更新していくドキュメントだと思ってください。

ーまず毎年更新できるでしょうか? できないとしたら、一年間何をやってきたんだ?とじっくり振り返りましょう。必ず何か更新できることが見つかるはずです。

ー履歴書は一種類ですか?私は4種類持ってます。経験(やってきたこと、職歴)は同じでも見方、目的を変えると違ったものになります。私はR&Dエンジニア、R&Dマネージャ、マーケティングエキスパート、プロジェクト、プロダクトマネージャ等の経験があります。R&Dエンジニアだったころでも自分がプロダクトマネージャだったという目で振り返ると仕様書を作るために顧客、セールス等ともミーティングをしたことを思い出します。書いておくのです、それを。

つくった履歴書は会社の求人に応募する時に作成する履歴書の原本になります。そうそう、原本をそのまま使ってはダメです。履歴書は応募するポジション、会社毎に作ります。たとえ似たようなポジションであっても求人の詳細(WEBなどで見れる)をみてカスタマイズするのです。

履歴書は書類審査の重要な資料です。従業員の推薦などもありますが履歴書の書類審査をパスして初めて次のステップに移れるのですからこれほどに大事な書類はないのです。カスタマイズ(最適化)は当たり前のことです。

最適化についてはまた後日。 ここでは履歴書を書いてみましょう。それが最初の一歩です。 求人を探すといったこと、面接に向けて勉強するといったことは最初にすることではないと思います。

シリコンバレーでも人間関係は大切

人間関係につかれた、上司、同僚とうまくいかない、アメリカは実力主義だから自分の実力が優れていたらそれでいいんだ。。。 

実力がモノを言うのは所、時代を問いません。なんだか誤解しておられる方もいるようですが日本も中国も実力はとても大切な要素ですよ。基本的に実力がないとどこの世界でも成功することはないと思います。自分が成功しない、昇進しないのを他人、他に転嫁する人はシリコンバレーでも成功しません。

それに人間関係はアメリカだってとても大切です。しがらみだっけありますよ。同じ人間ですから。人間関係はとても大切だと言っておきます。それは

ー会社は従業員の紹介による採用を奨励している。何も紹介で入社できると言ってはいませんが紹介ある履歴書、申し込みを優先して扱うことが多いです。大きな会社、一つのポジションに100もの申し込みがくるのはざらなのです。そうしたら紹介のある人を先に見るでしょう?いわゆるプロのリクルータの申し込みを受け付けない会社が増えているので友人、知人(従業員)があなたを紹介してくれるわけです。

ー元上司は採用を考えている会社が一番好むレファレンスである。採用の検討にあたり数人レファレンスを求められることがあります。そのうちの一人は元上司である必要があるか、好まれます。

これだけでも友人、元同僚、元上司というのはついて回ることが多いのがわかると思います。 また、

ーベンチャー企業に転職したら、元の会社がその会社を買収した。その結果また元上司、元同僚が自分の上司、同僚になった。

というのもあります。喧嘩別れしていたとしたらどうでしょうか?

実力主義といっても人間です。上司に媚を売る同僚もいれば社内、チームない政治(パワーゲーム)をする同僚、部下もいますよ。会社、上司にとって正当でも自分にとって正当でない、と感じることも多々あります。なにも大会社に限ったことではありません。ベンチャーだってあります。やっとポジションが空いたと思ったら上司が自分の過去使っていた部下を連れてくるなんてことも多々あります。昇進したければ転職しろとはるか以前友人が教えてくれたことがあります。

シリコンバレーに来れば自分の苦悩がなくなる(人間関係)と言った勘違いはしないことです。

シリコンバレーで何がしたい、できるのか?

シリコンバレーで働いてるんですか? ”私でも働けますか?”と聞かれることがあります。 誰だって働けますよ。なんかシリコンバレーっていうことで”すごい”と勘違いされているようですがここは単にテクノロジーの会社が沢山集まっている地域。集まることで人の動きが活発になる。人と金は動けば価値を産み出すと言います。金は動きやすいですが人は物理的な制約もあり動きにくいですが集中することで動きやすくなっている、それがシリコンバレーです。

日本でも人気ある企業、職種は競争が激しいようにシリコンバレーも人気ある仕事、会社は競争があります。人材が一番重要なテクノロジー関連の会社では人の流動性が高いこの地域は結果的に給与等は高くなります。でも常にそうだったわけではないです。私がやってきた90年初頭はまだドットコム以前、日本のバブル終焉前でまだバブル景気のころ、仕事を探すのは困難だった。ドットコムがはじけた時も大量に失業者がでた。これは日本も同じです。バブル時期、日本では学生の青田買いはものすごくお金も飛び交っていたと聞きます。私は既に日本を出ていましたがこんな時期になんでUSAなんかにいるの?とアジアから来ていた留学生に何度も質問を受けました。日本で働きたいと皆言ってましたよ。

さてシリコンバレーで働きたい。ベンチャー企業を立ち上げたい(その資金が欲しい)と言う方もいるでしょう。私自身ベンチャー企業は創立時からかかわった経験もありますから企業を創立することも多少は経験がありますが私自身が主体となって起業したいと思ったことはありません。エンジニアとして経験を積みたいという方もいるでしょう? どんなエンジニアリングがしたいですか? 

なんでもいいけどとりあえずシリコンバレー(USA)で働きたいと言う人もいるでしょう。どこで働くかは今も昔も基本的に個人の自由です。雇われるのでしたら雇ってもらえるかどうか、法律的な面も含めて、だけのことですからね。

いずれにせよ、シリコンバレーでキャリアと積みたいというであればたとえ興味が後ほど変わっていくにしても自分が今現在抱いている、持っている興味、そしてできることを整理する必要があると思います。しかもおおざっぱでは無く事細かく。例えば、Linuxに関して知っているとしましょう。コードを全部隅から隅まで知り尽くしているという方もいるかと思いますが恐らく少数でしょう。やはりどこか自分がとてもよく知っている部分と言うのがあると思います。半導体チップ設計なら、例えばあるEDAツールについては誰よりも知っていてそのツールを縦横無尽に使える自信があるかもしれない。

そのうえでそれらがどれだけ需要があり、価値があるのかを知ると良いです。昨今AIがブームですね。AIを知っていれば仕事があるような錯覚をあたえるようなコース、トレーニングの勧誘もちょくちょく見かけますが普通にトレーニングを受けた人はもう多数いてその程度では価値は少ないかもしれない。一方、浮動小数点演算のエキスパートでその知識と経験がずば抜けているとします。ポジションは少ないかもしれませんが知識を持つ人も少ない。かつ劇的に重要な技術かもしれない。そうするととても価値があることになります。探せはとても良いポジションがあることが多いです。

(シリコンバレー)エンジニアのタイプ

大きく二つに分けてしますと

ー専門性の強いタイプ

ーアジャイルなタイプ

でしょう。専門性というと例えばソフトウエアエンジニアではコンパイラの経験と知識がとても豊富、AIのアルゴリズムに精通している、LINUXのカーネルのコードは全部知っているといったようにあることに関して他のエンジニアを凌駕する知識と経験を持っているエンジニアです。世の中色々な専門家がいます。例えば浮動小数点の演算についてとても深い知識と経験を持つ人もいます。浮動小数点は整数とことなり演算により誤差を蓄積することがあるのですがそういったことにとても詳しい、と言ったようなことです。そういった専門性を期待されて入社するエンジニアがいます。専門性の強いエンジニアは私の経験では給与面等で優遇される傾向にあります。 ただポジションの数は少なめです。また小さなコミュニティーを形成することが多く同じエンジニアが移動していくケースも多いです。事実私は沢山コンパイラの専門家を知っていますが彼らの中にはGAFAをぐるぐるまわって今第2周目に入ったような人もいます。GAFAGという経路です。

アジャイルなタイプというのは日本語にするなら”使える”エンジニアとでもなるのでしょうか?フレキシブルとも言いかえれるかもしれないですが専門性はそれほど強くないがエンジニアとして一通りのことができ開発を任せることができる。例えば半導体チップの設計で言えば与えられたブロックの設計をRTLの設計から検証、論理合成まで一人で賄える。アジャイルなエンジニアと並行する形で通常検証の専門家的なエンジニアも働いているのですが検証の専門家というのは検証のための環境(Flow)の構築などを手掛けそのFlowをここの設計エンジニア(アジャイルなエンジニア)が使って開発をするといった風にですね。

自分が専門家を目指すのか、つまりある技術、知識に特化してそれを極めていくのか、アジャイル、つまりマネージャやプロジェクトリーダーが使いやすいエンジニアになっていくのか。

アジャイルというのではエンジニアから始めたが今はセールスをしている友人もいます。エンジニアの素養があるので製品について深く理解しておりそれを武器にしています。またエンジニアを辞めて医学部に戻り医師となり今は医療機器関連の会社でCTOを務めるような友人もいます。エンジニアリングの経験と医師としてのトレーニングを受けたのでCTOにはうってつけですね。専門家的なエンジニアにはこうしたケースはないのか?というと私の元上司は半導体設計を専門とした専門家マネージャでしたが今はAIソフトウエアで半導体のスペシャリストをしています。

シリコンバレー(USA)向きか?

USAで学業を終えたという学生、USAで多少学んだ、USAにある会社のオフィスで1,2年働いたことがある、いや、USAの会社の日本支社で働いた経験があると言う方も多いと思います。 

あなたはUSA向き(仕事をするという観点で)ですか?

まず、向かない人について。例えばこんな人

ー年下の元(マネージャやシニアなエンジニア)では働けない。特に上司が年下、それも2,3年程度でなく場合によっては10歳も20歳も年下な場合もある、では働けない。

ー男性に多いですが女性マネージャや女性シニアエンジニアの下では働けない。

ー自分の上司として後から人が入ってくる、つまりその人は自分(たち)のマネージャとして入社してきた、というのは考えられない。つまりマネージャは内部昇進するものであって外から連れてくるというのはおかしいと思っている。

ー先輩、後輩の考えが根強く残っている人。この先輩、後輩。こちらで居酒屋などにいくとよく見かけます。若い男性のグループに多いですがちょっとUSAに来たのが早い程度でもう先輩風を吹かせているような人をよく見かけますがこのような人は向きません。きっちり先輩、後輩という概念は日本に置いておきましょう。その後輩、数年もすると自分の上司になるかもしれないですよ。会社は違ってもその後輩がマネージャとして入社してくるかもしれないしその後輩がいる会社にエンジニアとして入社するかもしれないのですから。

どんな人が向くかは千差万別で一概に言えない。向かない人はこれまで沢山見てきているので経験で大体わかります。一度会えば大体わかります。