エンジニアリングの面接では時々不思議な問いを受けることもあります。でも、
とんち
ではない。
とんちというと、はるか昔、頭の体操とか言うことで色々な質問をした書物なのがありました。今もあるのかな? 学生時代読んだ記憶の中から一つ。
ここに一円玉が通る穴の開いた紙がある。10円玉をこの穴に通したい。紙を破ると言うようなことはしないで通すこと。
とか言うような内容でした。 さて答えはというと
紙を半分に折って両端を引き楕円の穴を作ってそこに10円玉を通す
だったはず。
さてこれ、面接で出たらどうします? こんな頓智な解答をしたらエンジニアリングの面接なら
だめ です。 これがとんち、頭の体操と言われる類のほとんどは結局はとんちです。頭を休めることには役立ちますがこんな問題を1000解いても発想が豊かになるとか、頭が柔軟になるということは
ない。
”かみ”と書いてあるでしょう? 出題者はその人が思うところの”かみ”が有るんですね、でも、それは出題に書いてない。
もし紙が非常に厚い段ボールだったら? 半分に折って引っ張って楕円作れるかな?
もし紙がペラペラのティッシュ一枚だったか? 引っ張れば破けてしまいそう。でも破ってはダメと言っている。。。
そう、エンジニアリングの面接なら、この問題がいかにあやふやであるかをまず問、その紙なるのもの正体、質問者の前提を明らかにする必要があるんですね。
設計を始めるにはスペックをはっきりさせるのですがスペックがはっきりしないまま設計を始めてしまうことがあります。 あとで大幅な設計変更になったり前提そのものが全く違っていて無意味なことをやっていた
なんてことにもなります。 ちょうどこのとんち問題のように。
ではどんな紙だったら実際に10円玉が通せるような楕円を作れるんだろう、両端を引っ張ることで。二つの硬貨はかなり大きさが異なります。実際可能なんだろうか? この問題を発表した方、実際に試したのだろうか? 私は以前試してみましたがそんな簡単なものでは無かった。できなくはないけれど。 発想は良いのかもしれないが実際にできるのか? これを検証するのもエンジニアリングではとても大切です。
検証できないものは エンジニアリングでは使えない(使いたくない)。設計は検証にこそ時間と労力が必要なのです。
以上、面接はとんちではない。 とんちで頭の柔軟性など、測れるわけはない、鍛えれはしない。エンジニアリングとしてでの話です。