前回のBLOGでは従業員、マネージメントの出自について多少意見をしました。
ベンチャー企業での重要な点として
ーマネージメント
ー資金と資金(Funding)を支えているベンチャーキャピタルなど
ーエンジニア
があると書きました。これらはもちろんとても重要です。それに加え
ービジネスモデル
もとても重要です。
昨今RISC-Vという新しいプロセッサが時折ニュースになります。最近Softbankがその傘下にあるARMをnVidiaに売却するという話に絡めて”いよいよRISC-Vにチャンス”などとNewsやBlogで見かけることもありますが、”本当かな?”とよく考えなくてはなりません。例えばARMのようにRISC-V プロセッサ IPをライセンスするIPビジネスをしようと言う会社への参加(就職)など、自分自身が直接かかわる場合ですね。
そのビジネスが本当にチャンスがあるのか? です。
なんか”聞いたところ良さそう”でよくわからないままベンチャー企業に入る(就職)するのはその目的が財政的成功である場合はじっくり考える必要があります。 もちろん目的が
ー技術の習得。これはその会社にすごいエンジニア、経験と実績があるマネージメントがあり彼、彼女たちから学ぶことが主目的。そして人的資産(人脈)を作ることが目的
だと言う場合はそれで目的が達成できるので問題ないかもしれないですね(でもね、学生じゃないんです、自分の将来にファイナンス的な側面は避けて通ると将来後悔しますよ。若い人はもう自分は学生ではないというのときちっと把握しておくべきです)。
さてRISC-Vで検討してみましょう。色々なBLOGをみるとライセンスなしで使えるISA(命令セット)だとあります。
ーだからみんなプロセッサを設計するのか? ありえません。プロセッサを設計するにはそれなりの実力が必要でお金もかかります。最初にライセンス料を払わなくても良いのですが”ただ”で設計できるわけではない。
ーライセンスがいらないだから”ただ”だろう、安いだろうとなります。もちろんそうでなければARMに対抗できないですね。と言うことは会社の売り上げは? でもコストは?シリコンバレーに会社があればコストはかかります。内は売り上げがないから給与安いよ、と言ったのでは良いエンジニアは集まりません。
ー使用料(ロイヤリティーと言います)もいりませんと良く書いてあります。ARMの良いところはこの収入があることで売り上げの50%以上はここからきているそうです。 ということは半分ないのか?
ということは今ARM(プロセッサIPビジネスではほとんど独占)のビジネスをRISC-Vが全部100%取ったとしてもどうやら今のARMより売り上げはずいぶん減りそうです。
いやでも”安くなるんだから”、IOTでもっとチップが必要になる。。。
確かにその通りですがあなたのビジネスがチップでなくRISC-VというプロセッサのIPだったらそのことがビジネスになるか?考えなくてはいけません。ARMの場合沢山チップがでれば売り上げになります。ロイヤリティーを取るからです。でもロイヤリティーいりません!なんて宣伝しているRISC-V 恩恵ありますか? どうも無いですね。ということはどれだけチップを製造しても自分たちには無関係なわけだ。 よく考えないと錯覚します。
ライセンス料が低いからもっといろいろなチップの設計もある。。。と言う人もいました。 本当かな?とこれも疑うべきです。プロセッサのライセンス料とチップ設計にかかるその他のコストを考えるとありえない。つまり同じチップを大量生産する方向にどんどん進むはず。とくに安いチップですね。
高額なチップは違う! と思いますが今のトレンドはAppleをとりあげるまでもないのですが自社内設計。つまりARM社からは命令セットの使用ライセンスを買いますが設計はすべて社内です。つまりARM以外はだれもビジネスのチャンスが無いわけですね。 仮にRISC-Vにしたら? そのときも誰もビジネスチャンスはないのです。RISC_Vに下から突然あなたの会社と取引するとは考えられません。
以上は私の勝手な解釈なのですがRISC_Vに限ったわけではなく自分が入社しようとする会社のビジネスモデル、マーケットを良く理解することが必要です。
私が長く働いたベンチャー企業。エンジニアの目で見るととてもCOOLで面白い技術、製品なのですがビジネス的な成功は中くらい程度でした。運よく大きなビジネスをいくつか取ることができそのお陰で買収されましたがこのケース、製品というよりセールスの実力が大きく作用しました。なんども書いてますが最後はセールスです。 どんなに技術、製品が良くてもセールス(実力)が弱いと物は売れません。
ビジネスを見る目、マーケットを見る目をぜひ育ててください。